波佐見焼とは

波佐見焼とは何か?独自の特徴や技法、その歴史、現在を解説します

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波佐見焼

暮らしに根付いた器を目指す波佐見焼

長崎県の内陸部に位置する波佐見町は、広大な山々と美しい小川に囲まれた町です。
人口約15,000人のこの小さな町の名前が国内外に広く知られる理由は、「波佐見焼」の存在があるからに他なりません。

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波佐見焼の歴史 成立~江戸時代

波佐見焼の発端は今から約400年前、当地を仕切っていた藩主である大村氏が朝鮮から陶工を連れ帰り、慶長3年に登り窯を築いたのが起源と言われています。

釉薬を使った陶器の製造から徐々に磁器生産へと移行すると、青磁を中心とした磁器がたちまち評判を集めるようになりました。
ほどなくして大村藩の特産品として扱われるようになった波佐見焼は、江戸時代後期に差し掛かると染付生産量において日本一に輝くなどの躍進を遂げ、さらに評価を高めていきます。

古くから波佐見焼は、日用品として強い耐久性を持たせることを意識して作られていました。
江戸時代には大量生産を目指し、複数の巨大登り窯で続々と波佐見焼が作られました。
その中でも世界1位の大きさと思われる大新登り窯は「階段状連房式登り窯」と言われ、全長170m、39室。今もその跡は山の斜面に残され発掘研究がされています。

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磁器を身近にした「くらわんか椀」

波佐見焼の歴史的な代表作として、「くらわんか椀」の右に出るものはありません。

江戸時代、大阪の淀川では「酒食らわんか、餅食らわんか」と言いながら、小舟でご飯、汁物、お餅、お酒などを売っていたという「くらわんか舟」という商売舟がありました。

この舟で使われていた椀を「くらわんか椀」と呼び、この椀は舟の上でも安定するように重心が低く、どっしりとしたフォルムが特徴でした。
くらわんか椀には、丈夫で手頃な価格の器を大量生産していた、愛媛の砥部焼(とべやき)、大阪の古曽部焼(こそべやき)と並び、長崎の波佐見焼が使われたのです。

江戸時代にくらわんか椀が登場するまでの間、庶民にとって磁器は高根の花でした。
コストを抑えることで磁器を一般に流通させたことは、波佐見焼が築き上げた大きな功績の一つです。

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海を渡るために作られた「コンプラ瓶」

波佐見焼において、くらわんか椀と同様に有名なものが「コンプラ瓶」です。

1700年代後半、オランダを始めとするヨーロッパの商社は酒や醤油を日本から輸入していましたが、通常の木樽では、長い船旅の最中に風味を失ってしまうことが問題でした。
この問題を解決させるためにワインの空き瓶に移すなどの対策が取られていましたが、専用瓶を欲した商人が波佐見焼の陶工に注目し、その際に作らせたのがコンプラ瓶です。

しかしこのコンプラ瓶がヨーロッパに到着すると、本来の目的とは違う用途でも使用されるようになりました。
シンプルで頑丈な波佐見焼は各界の著名人から愛され、ロシアの歴史的文豪であるトルストイは一輪挿し、フランス皇帝ルイ14世は調度品としてコンプラ瓶を愛用していたという逸話が残っています。

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波佐見焼の特徴

波佐見焼の原料の多くは天草陶石です。
天草陶石は適度な粘りがあり、また鉄分やチタンの含有量が少ないため白く焼き上がります。

大衆的な製品を大量生産する波佐見焼では製造工程は分業制になっており、『型起こし』、『成型』、『釉薬』、『窯焼き』などをそれぞれ専門の会社が担当します。

成型のほとんどは型を使用。
これによって安定感のある均一な商品を大量に製造することが可能になります。
電気ろくろにセットした石膏型に陶土をコテで押さえながら形作る『機械ロクロ製法』や、土を液体にして型に流し込んだ上で固め直すという、『鋳込み製法』と呼ばれる手法が多用され、様々な形を作り上げます。

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波佐見焼ならではの特色

波佐見焼の特色としてよく語られるのは「特徴がないことが特徴」ということです。

もともと波佐見は「くらわんか椀」に代表される、生活に根ざした日常使いの器をつくることを得意としており、それは将軍家に献上した鍋島焼や、海外に輸出する有田焼ように、華やかで技巧的な特徴のあるものではありませんでした。

ながらく隣町である有田の下請けとなっていた波佐見は、近年になり有田焼ではなく「波佐見焼」として再度歩みを始めることになります。

「特徴がない」ということは逆に言えば「縛りがない」ということ。
波佐見焼は自由な発想をもとに、シンプルで飽きの来ない、生活に根付いた器としての価値を生み出し始めました。
手軽で良質な暮らしの器を目指すという姿勢は、江戸時代から400年たった今も変わることなく貫かれているのです。

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近年の波佐見焼

近年では、昔からの窯元やメーカーが、新しい感覚を取り入れた器を続々と生み出しています。
日本的な要素にこだわらず、北欧デザインのようなシンプルさや、アメリカデザインのような機能性を持ち合わせたものなど、現代の日常生活に合わせた普段使いの食器が多く作られており、年々人気が高まっています。

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波佐見でのイベント

波佐見町では、様々なイベントを季節ごとに実施し、町をあげて波佐見焼を盛り上げています。

●「中尾山桜陶祭」毎年4月第一土曜日・日曜日
中尾山にある18軒の窯元を年に一度だけ一般公開。窯元のウォークラリーや即売会を行っています。

●「波佐見陶器まつり」毎年ゴールデンウィーク
波佐見町やきもの公園一帯に約150店の窯元やメーカーが集まり、開催されます。
さまざまな窯元の焼き物が一堂に会し、ろくろ実演や上絵付け体験などのイベントも開催。期間内は駐車場が豊富に用意され、有田駅と会場を結ぶ無料シャトルバスも運行しています。
毎年約30万人が来場し、活気のあるやり取りが繰り広げられます。

●「波佐見夏まつり」毎年8月28日
はさみ温泉湯治楼周辺にて行われる夏まつりでは、伝統の皿踊り「波佐見節」やバンド演奏などの催し物が披露され、会場周辺にはビアガーデンや多くの露店が軒を連ねます。
クライマックスでは、約1,000発の花火が夏の夜空を彩ります。 会場周辺を彩る、コンプラ瓶をモチーフにした「コンプラ灯籠」の幻想的な灯りは波佐見ならではの楽しみです。

 

<波佐見焼のファクトリー・ブランド>

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